硯の名産地・石巻/ISHINOMAKI city is famous for producing inkstone.
イタリアから帰国した翌日、3月11日に宮城県石巻市を訪れました。石巻市は、東日本大震災の被災地の中でも浸水面積が最も広く、宮城県では最も多くの死者が出たところです。
石巻市の東部、太平洋に面したリアス式海岸にある雄勝(おがつ)は、国内産の硯(すずり)の9割のシェアをもつ「日本一のすずりの里」です。雄勝硯は600年の歴史と伝統を誇り、今も昔ながらの手づくりの製法により、ひとつ一つ丹念に彫り上げられています。室町時代から高い評価を受け、伊達政宗公も絶賛したと言われており、1985年には国から伝統的工芸品の指定を受けました。
雄勝町と震災前の雄勝湾
3月11日の大津波は、湾に入ってさらに高さを増しながら雄勝に襲いかかり、町のほとんどは壊滅してしまいました。波は容赦なく硯職人の工房や自宅をのみこみ、町内にあった10箇所の工場は全て流されてしまいました。
今、生産販売共同組合のみなさんは、事務所兼作業場として建てられた仮設プレハブを拠点に「伝統の灯を絶やさない」との思いで再起をかけています。近年は硯だけでなく、屋根材や食器、工芸品などの新事業展開にも力を入れながら伝統工芸の継承を図られています。ちなみに雄勝の石は1914年に建てられた東京駅赤レンガ駅舎の屋根にも使われ、現在の駅舎復元工事でも採用されています。
私が訪れた時は、津波で流されてしまった硯を回収し、泥を洗い流して補修する作業に追われていました。今後も生産拠点の整備はもちろん、石切り場に至る道路整備や重機の確保、若手の育成などに向け、息の長い支援が求められています。
筆・墨・硯・紙を指して文房四宝と言いますが、書をたしなむ人たちにとって硯はやや縁遠いものになってきました。残念ながら昨今では、プロの書家でさえ墨液で作品をつくる人も珍しくありません。
雄勝硯生産販売共同組合/Ogatsu Suzuri Association
http://www4.famille.ne.jp/~suzuri/
NPO雄勝石復興プロジェクト
http://www.ogatsuishi-fukkou.org/
I visited Ishinomaki city on the day March 11th, just after one year has passed after the disaster. Ishinomaki is one of the most heavily damaged areas in north-east Japan. Ogatsu town in Ishinomaki is famous for producing inkstone. Ogatsu town has a 90% market shere in Japan. Ogatsu Inkstone, a classical artifact with 600 years of tradition and art, was designated by the Minister of International Trade and Industry as a Traditional Craft of Japan in 1985.
After huge Tsunami, Most of town was deadly destroyed. Ogatsu Suzuri Association is on the way of reconstruction. They need long-term support both materially and spiritually.
Inkstone is one of four companions of the first stationary; Suzuri (inkstone), fude (brush), sumi (ink stick), paper. It is pity that recently calligraphers are reluctant to use inkstone because liquid ink is becoming popular.
損壊した雄勝硯伝統産業会館
損壊した雄勝硯伝統産業会館(裏手)
津波で流された硯(昨年撮影)
プレハブの仮設作業場
中嶋宏行 http://www.sho-jp.com/
書の教室 http://www.nakajimahiroyuki.jp/school/
石巻市の東部、太平洋に面したリアス式海岸にある雄勝(おがつ)は、国内産の硯(すずり)の9割のシェアをもつ「日本一のすずりの里」です。雄勝硯は600年の歴史と伝統を誇り、今も昔ながらの手づくりの製法により、ひとつ一つ丹念に彫り上げられています。室町時代から高い評価を受け、伊達政宗公も絶賛したと言われており、1985年には国から伝統的工芸品の指定を受けました。
雄勝町と震災前の雄勝湾
3月11日の大津波は、湾に入ってさらに高さを増しながら雄勝に襲いかかり、町のほとんどは壊滅してしまいました。波は容赦なく硯職人の工房や自宅をのみこみ、町内にあった10箇所の工場は全て流されてしまいました。
今、生産販売共同組合のみなさんは、事務所兼作業場として建てられた仮設プレハブを拠点に「伝統の灯を絶やさない」との思いで再起をかけています。近年は硯だけでなく、屋根材や食器、工芸品などの新事業展開にも力を入れながら伝統工芸の継承を図られています。ちなみに雄勝の石は1914年に建てられた東京駅赤レンガ駅舎の屋根にも使われ、現在の駅舎復元工事でも採用されています。
私が訪れた時は、津波で流されてしまった硯を回収し、泥を洗い流して補修する作業に追われていました。今後も生産拠点の整備はもちろん、石切り場に至る道路整備や重機の確保、若手の育成などに向け、息の長い支援が求められています。
筆・墨・硯・紙を指して文房四宝と言いますが、書をたしなむ人たちにとって硯はやや縁遠いものになってきました。残念ながら昨今では、プロの書家でさえ墨液で作品をつくる人も珍しくありません。
雄勝硯生産販売共同組合/Ogatsu Suzuri Association
http://www4.famille.ne.jp/~suzuri/
NPO雄勝石復興プロジェクト
http://www.ogatsuishi-fukkou.org/
I visited Ishinomaki city on the day March 11th, just after one year has passed after the disaster. Ishinomaki is one of the most heavily damaged areas in north-east Japan. Ogatsu town in Ishinomaki is famous for producing inkstone. Ogatsu town has a 90% market shere in Japan. Ogatsu Inkstone, a classical artifact with 600 years of tradition and art, was designated by the Minister of International Trade and Industry as a Traditional Craft of Japan in 1985.
After huge Tsunami, Most of town was deadly destroyed. Ogatsu Suzuri Association is on the way of reconstruction. They need long-term support both materially and spiritually.
Inkstone is one of four companions of the first stationary; Suzuri (inkstone), fude (brush), sumi (ink stick), paper. It is pity that recently calligraphers are reluctant to use inkstone because liquid ink is becoming popular.
損壊した雄勝硯伝統産業会館
損壊した雄勝硯伝統産業会館(裏手)
津波で流された硯(昨年撮影)
プレハブの仮設作業場
中嶋宏行 http://www.sho-jp.com/
書の教室 http://www.nakajimahiroyuki.jp/school/
コメント 0